相手に感謝やねぎらいの気持ちを伝えたい場合に「わざわざ○○○○○」と、感謝の気持ちとともに表現することがあります。しかし、使い方を間違えると相手を不快にさせてしまい失礼な印象を与えることもあるため注意は必要です。「わざわざ」の使い方や言い換え表現を解説いたします。
「わざわざ」の意味
「わざわざ」は、「特にそのためだけに行う」という肯定的な意味と、「 しなくてもよいことをする」という否定的な意味があります。
「わざわざ」は「態々し(わざわざし)」という古語が語源で、「わざとらしい」というネガティブな意味で使われてきたのため、文脈や相手との関係性、場の雰囲気や使い方によって、嫌味や皮肉に受け取られることもあるため注意が必要です。
「わざわざ」の使い方
「わざわざ」は敬語ではありませんが、「わざわざ ありがとうございます」や「わざわざ お越しいただきありがとうございます」など、相手への感謝の気持ちとともに丁寧な敬語と組み合わせることで、ビジネスシーンで使える言葉です。
しかし「わざわざ」は否定的なネガティブな意味もあるため、言葉遣いを工夫して伝えても心配な場合は使わないという考え方もあります。
相手の行動に感謝を伝えるときや、相手に謝罪・恐縮するときの「わざわざ」の使い方について、例文を交えて紹介します。
● 相手の行動に “ 感謝 ” を伝えるとき
相手に何かしてくれたことに対して「わざわざ」と添えることで、相手の労力や配慮に対して、感謝の気持ちを感謝の気持ちを伝えられます。これらの表現は、その行動への感謝の気持ちを強調することができ、相手の行動が特別であることを強調します。
感謝や労いの気持ちを伝える際には、ポジティブな表現を選びましょう。さらに、「おかげさまで、◯◯できました」のように近況を添えると、よりポジティブに感謝の気持ちが伝えられます。
〈 例文 〉
▢ お忙しい中、わざわざ お時間をつくってくださり、ありがとうございます
▢ 遠いところまで、わざわざ お越しいただき、ありがとうございます
▢ 本日はお足元が悪いなか、わざわざ ご足労くださりありがとうございました
● 相手の行動に “ 謝罪 ” を伝えるとき
「わざわざ」は、相手がしてくれたことに対して謝罪や恐縮するときにも使うことができます。「わざわざ」と添えることで、相手の労力に対する配慮と、自分の行動による不便を強調することができます。
〈 例文 〉
▢ わざわざ ご足労いただいたにも関わらず、不在にしており申し訳ありません
▢ わざわざ お声がけいただいたのに、都合がつかずにすみません
「わざわざ」を使うときの注意点
自分の行動に対して使ったり、相手の動作に対して否定的に使わないように注意しましょう。
「わざわざ」を自分の行動に対してを使ってしまうと、自分の行動を過度に強調し「面倒だった」や「やってあげた」というような、上から目線や恩着せがましい印象を与えてしまう可能性や、相手に対して不快な印象を与える可能性もあるため、なるべく使わないようにしましょう。
また、「わざわざ お越しいただく必要はございません」や「わざわざ ○○をご準備いただかなくても結構です」など、「わざわざ」を相手の動作に対して否定的に使ってしまうと、丁寧な敬語でも相手の行為を迷惑に感じているかのようにに聞こえてしまいます。
相手によっては、やらなくていいことをやったと嫌味・失礼に聞こえてしまうかもしれません。気遣いの気持ちで伝えたつもりが、失礼な印象を与えてしまいますので注意しましょう。
「わざわざ」の言い換え表現
「わざわざ」と同じ意味合いで使われている表現について、紹介します。
言い換え表現を知っていると、表現が豊かになり、より細かなニュアンスの違いを伝えることができます。
● 01: ご丁寧に
「ご丁寧に」は、相手が手間を惜しまず細かい部分まで、親切な対応をしてくれたことに、感謝の気持ちを伝えるときに使います。
〈 例文 〉
▢ ご丁寧にお電話をいただき、ありがとうございます
▢ ご丁寧にお知らせくださり、ありがとうございました
● 02: お忙しいところ・お忙しい中
ビジネスメールでもよく使われる「お忙しいところ」や「お忙しい中」は、相手への労いの気持ちや、相手を思いやる丁寧な気持ちを表現する言葉です。相手の時間や労力を尊重し、その行動に対する感謝を強調するのに適しています。
〈 例文 〉
▢ お忙しいところ、ご対応をいただき ありがとうございました
▢ 本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきまして ありがとうございました
● 03: 本当に
心からの御礼を伝えるときなどに「本当にありがとうございます」などと使います。この表現は、心からそう思っているという感謝の気持ちを強く伝え、相手の行動に対する尊重を明確に示すのに適しています。
〈 例文 〉
▢ 本日はご来社いただき、本当にありがとうございました
▢ このたびは、ご尽力いただきまして、本当にありがとうございました
● 04: せっかく
「せっかく」には「無理をして、苦労して」という意味があり、「わざわざ」の言い換えとして使いやすい言葉です。相手の努力を尊重し、相手の無理や苦労、負担をねぎらうときに使います。
〈 例文 〉
▢ せっかくのお誘いですが、あいにく都合がつきません
▢ せっかくお越しいただきましたが、準備ができておらず申し訳ございません
● 05: していただいたのに
「していただいたのに」は、相手がしてくれた行動に対して、応えることができないときに使えます。この表現は、相手に感謝の気持ちと、期待に添えない旨をお詫びできるので、丁寧に断る言い方ができます。
〈 例文 〉
▢ 見積もりをご提出していただいたのに、見送ることになり申し訳ありません
▢ せっかく〇〇していただいたのに、ご期待に沿えず申し訳ございません
「わざわざ」の使い方や言い換え表現など詳しく解説しました。「わざわざ」は、否定的なネガティブな意味もあるため、相手の行動を尊重し、その労力に対して感謝や敬意の気持ちをもって使うことが大切です。言い換え表現など言葉遣いを工夫することで、より円滑なコミュニケーションを実現することができます。