取引先へ年末年始の挨拶まわりをする際に、訪問するタイミングや注意点など、知っておくべき基本的なビジネスマナーについて紹介します。
■ 挨拶の目的
年末年始のご挨拶は、日頃の「感謝」をあらためて伝えることが目的です。本年度の感謝の気持ちを伝えつつ、翌年もより良い関係を築いていきたいということを伝えるためにも、とても大切な機会となります。
取引先にご挨拶をしない、または相手の状況を考えずに勝手に挨拶まわりをすると、悪い印象を与えることもあります。年末年始は、取引先や顧客も忙しい時期です。取引先の迷惑にならないよう、事前にしっかり準備をし、円滑な訪問ができるようにしましょう。
■ 訪問のタイミング
年末年始のご挨拶に適した時期は、以下のとおりです。
● 訪問のタイミング・年末
一般的に、12月15日~年末年始休暇の1週間ほど前、または取引先の最終営業日の前日まで
※ 最終営業日はとくに忙しいため、よほどの事情がないかぎり訪問をするのは避けましょう。
● 訪問のタイミング・年始
基本的に、1月7日の「松の内」の間に済ませることが理想です。難しければ小正月の1月15日まで
松の内とは、門松やしめ飾りを飾っておく期間のことで、一般的には関東地方では1月7日まで、関西地方では1月15日までとなっています。
この期間内に先方の都合がつかないときは、無理のない時期に訪問してもよいでしょう。
※ 営業日の初日はとくに忙しいため、よほどの事情がないかぎり訪問をするのは避けましょう。
年末の挨拶後に仕事のやりとりが発生してしまうと、締まりのない印象になりますので、早めに取引先の営業日を確認しておく必要があります。対面でのご挨拶は、年末か年始のどちらか1回のみの訪問が、最近は増えているようです。
事前に上司の確認をとる
取引先への訪問予定を立てる前に、上司に確認をとりましょう。
年末年始の挨拶まわりは、上司を帯同する場合もあります。スケジュールが立て込んでくる時期なので、帯同してもらうべきかどうかは早めに確認しておきましょう。もし上司と相手先に訪問する場合は、自分と相手先だけではなく、上司のスケジュールも調整する必要があります。
■ 訪問のアポイントは必須?
日程調整が取引先の負担になる場合や、できるだけ多くの取引先へ訪問したいという場合、あえてアポイントなしで訪問することもあります。しかし、年末年始はとても忙しい時期ですので、急な訪問に対応してもらえないこともあります。アポイントを取らずに訪ねてしまうと、対応をするために一度仕事の手を止めてもらうことになります。わずかな時間の対応だとしても、相手の迷惑になる可能性がありますので配慮が必要です。
顔を合わせてご挨拶をしたいという場合は、あらかじめアポイントをとっておきましょう。その際に、挨拶のみですぐに失礼すると伝えておくと丁寧です。「10分ほど、お時間いただけますでしょうか」「すぐにお暇します」などと気を利かせることも大切です。
■ 滞在時間
あくまでも挨拶が目的ですので、長く滞在しすぎないようにしましょう。滞在時間は5~15分程度にするのがマナーです。年末年始の忙しい時間を割いてもらっていることからも、手短に、かつ丁寧に、ご挨拶することを意識しましょう。相手先の様子をみて忙しそうな場合は、玄関先でのご挨拶のみでも構いません。
アポイントをとっていても、急用で担当者が留守だったということもあります。その際は、名刺を置いていくことで、年末のご挨拶に訪問したことが分かります。年始のご挨拶の場合は「謹賀新年」や「恭賀新年」の朱印を押した名刺を置いていくことで、年始のご挨拶に訪問したことが分かります。口頭で訪問の旨を伝えてもらうより、名刺があった方が印象に残ります。ぜひ新年用の名刺を準備しておきましょう。
■ 手土産は必要?
手ぶらでもマナー違反ではありませんが、先方の印象にも残りやすく好印象につながりますので、手土産は持参したほうがよいです。企業によっては品物を受け取らないこともありますので、初めて年末年始のご挨拶をする場合は、社内で上司に相談・確認することをおすすめします。
社名の入ったカレンダーやタオルなどのノベルティグッズや菓子折などが手土産として一般的です。社名の入ったノベルティは、使ってもらえれば相手の目に触れる機会が増えますので、宣伝効果も期待できます。菓子折の場合は、大人数でも食べやすいように日持ちがして、個包装の物を中心に選ぶようにしましょう。
手土産には、のし紙を掛けるのがマナーです。紅白の蝶結びの水引を使用し、表書きには「粗品」または「御挨拶」を書くのが一般的です。
年始の挨拶まわりの場合は「御年賀」もしくは 「御年始」とするのがよいでしょう。カレンダーは、基本的に年末のご挨拶の際に持参する物ですので、年始に持って行くことは避けましょう。
■ 訪問時に話す内容
かしこまった挨拶をする必要はありません。
今年の思い出などを織り交ぜながら、感謝の気持ちを伝えます。
「どうぞ、良いお年を」と省略した挨拶ではなく、「どうぞ、良いお年をお迎えください」ときちんと丁寧な挨拶をしましょう。
また、相手から仕事の話しを振られないかぎり、自分から仕事の話は出さないのがマナーです。仕事の話はまた年明けに日を改めて設定しましょう。滞在時間は5~15分程度ですので、丁寧な挨拶と、さりげないヒアリングを心がけて、お互いにとって気持ちよく有意義な時間で終えるようにしましょう。
新年のご挨拶をする際も、会話の内容は新年を祝う言葉や世間話にとどめて、基本的にはビジネスの話はせず相手の迷惑にならないように短時間で済ませます。
年末年始の挨拶回りで、知っておくべき基本的なビジネスマナーについて紹介しました。
急なスケジュール変更で担当者と会えず、電話やメールでご挨拶する場合もありますが、年末年始のご挨拶は、取引先や担当者の方に感謝の気持ちを伝える絶好の機会です。
短時間で心のこもった丁寧なご挨拶ができるように、準備を整えておきましょう。最低限のマナーを守って、失礼のない行動を心がけることが大切です。